大阪メトロの擬人化に役立つ、設定資料集

大阪メトロの擬人化に役立つ、設定資料集

鉄道擬人化を手掛ける絵の上手い方から、以前こんな話を伺いました。

設定に使えるような基礎知識や裏話などがない
「数値データだけの情報では個性が掴みにくく、他の創作者のキャラと差別化しづらい」
「稼ぎ具合など人っぽい側面を感じる情報がほしい」

 

擬人化するイラスト技術や熱意はあれど、その資料となる情報が不足しているそうです。

これは当サイトの出番ですね?

 

そこで今日は、擬人化文化が発展してほしい大阪メトロマニアから擬人化設定に役立ちそうな情報を抜粋してまとめてみることにしました。

このコラムは

・電車の車体形式などにそこまで詳しくない、興味はないけど
・駅や駅舎が好き
・企業の文化や歴史、路線図が好き
・そして地下鉄や鉄道を擬人化したい、見たい、描きたい趣味がある

そんな方向けの記事です。

Wikipediaには掲載されていないようなエピソードも、たくさん書きましたのでご活用下さい!

(書籍化やイラスト化の際には一声頂けると当サイトからもリンクしますので、是非ご一報くださませ~!)

 

 

共通事項

大阪メトロは地下鉄8路線と、ニュートラムという小さい自動運転される電車の合計9路線にて運行されています。

また、御堂筋線の江坂から北は北大阪急行と、中央線の長田から東へは近鉄けいはんな線と、堺筋線の天神橋筋六丁目から北は阪急と直通しています。

 

電車について

大阪市交通局時代からの伝統で、車両には基本的に「シルバー」を採用。それをベースに路線ごとのラインカラーを塗ることになっています。

これは、高度経済成長期に活躍した30系車両(左上写真)から、徹底的にこだわっているものです。

現行路線の内、下記2路線を除く6路線においてシルバーの電車が採用されています。

 

長堀鶴見緑地線と今里筋線(リニア地下鉄組)

ただ、例外的に長堀鶴見緑地線と今里筋線だけは、「暖かなイメージ」を持たせるために車体がアイボリーに塗装されています。

これは、1990年に行われた花と緑の博覧会(花博)で、その輸送の為に暖かいイメージを求められたことが理由となっています。

ニュートラム

ニュートラム車両には、シルバーを基本としながら「楽しいイメージ」を作り出す為なのか、車両ごとに異なるカラーラッピングを採用。

虹色や金色、パンダ色(?)まで多様な種類があります(後述)

 

 

路線別の特徴

御堂筋線

一言で… 大阪の主役。大阪メトロの主役。

ラインカラー… クリムゾンレッド(大阪の動脈という意味から)
正式名称… 大阪市高速電気軌道第一号線
誕生日… 昭和8年(1933年)5月20日、梅田~心斎橋間
乗客数…1日あたり240万人(2019年)
車両…10両編成。昭和の10A系、平成の21系、令和の30000系とバラエティ豊か。

路線距離…24.5km
駅数…20駅
稼ぎ具合…営業係数44.9。日本一稼ぐ地下鉄。
延伸構想…なし

路線の逸話…大正15年に作られた初期計画路線組の1つ。概ねこのルート通りに建設。

 

営業係数とは?

100円の稼ぎを得るためにどれほどのコストが必要かという数字。100より小さいと黒字、大きいと赤字。
ちなみに、「44.9」は山手線をも超える化け物クラス。

 

・他路線や他社との関係

花園町~大国町 無筋アーチ区間

御堂筋線は、歴史的に四つ橋線との関係が深い路線です。そもそも四つ橋線は現在のような独立した路線ではなく、御堂筋線の支線として開業した経緯があります。

そのため、四つ橋線がまだ玉出~大国町間だけだった時代には、大国町から御堂筋線へと乗入れていた過去があります。

例えば「玉出発→新大阪行き」なんて電車も設定されていました。

 

御堂筋線の専用車庫は中百舌鳥にありますが、電車の重要部分の修理や8年に1度の検査(車でいう車検)や新車投入、廃車など節目のイベントは、より大きな四つ橋線の車庫「緑木検車場」で行います。

 

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また、江坂からは阪急と御堂筋線のハーフである北大阪急行が乗入れてきます(後述

北大阪急行の電車は、御堂筋線の「赤色」と阪急の「栗色」が重なったカラーリングになっています。

 

全体的にかかる負荷が大きい路線で、

・梅田駅は人が多すぎて急遽谷町線用だったホームを転用
・難波駅は昭和62年にめちゃくちゃ頑張って拡張(2番線ホームを新造)
・天王寺ではホームへの入場制限(上の写真)

が日常的に行われているほどでした。

その為、元々9両までしか対応していなかった駅を無理して10両編成へ対応させるため、難しい工事を行っています。

 

・御堂筋線で行けるところ

・新大阪駅
・グランフロント大阪
・阪急百貨店、阪神百貨店、大丸
・ヨドバシカメラ梅田
・大阪市役所
・中央公会堂
・心斎橋大丸本店
・アメリカ村
・難波高島屋
道頓堀
・天王寺動物園
・てんしば
・あべのハルカス
・長居スタジアム

大阪の代表的な地域・スポットを殆ど網羅しています。

 

四つ橋線

一言で… 御堂筋線の支線
ラインカラー…ブルー(大阪の静脈、もしくは御堂筋線より海側を走る意味から)
正式名称…大阪市高速電気軌道第三号線
誕生日…昭和17年(1942年)5月10日、大国町~花園町間。実は2番目に古い路線

車両…6両編成、23系
路線距離…11.8km
駅数…11駅
稼ぎ具合…営業係数90.4。そこそこ
延伸構想…2004年まで堺市大浜までの延伸免許があった

路線の逸話…大正15年に作られた初期計画路線組の1つ。3号線なものの建設は2番目。

 

 

他路線や他社との関係

 

出典:大阪市交通局「大阪市地下鉄建設70年のあゆみ」51p

歴史的に御堂筋線との結びつきが強い路線。路線カラーの成り立ちも「御堂筋線が赤だから四つ橋線は青」と対の存在。

当初は大国町から南側だけの計画で、大国町からは御堂筋線に乗り入れていたものの、御堂筋線のあまりの混み具合に乗り入れを中止。急遽予定を変更して、自力で西梅田まで乗り入れることになりました。

同じルートを通る御堂筋線と比較されるのでよくいらない子扱いされるものの、実はガッチリ稼いでいる重要路線の一つ。四つ橋線がないと御堂筋線は死にます。

 

御堂筋線・谷町線・中央線・千日前線の車両は北加賀屋駅にある「緑木検車場」で検査を受けることから、これら全ての列車が四つ橋線を通っています。

Q.他路線車両はどこから四つ橋線に入れる?

A.
御堂筋線…大国町から四つ橋線へ入る
谷町線…谷町四丁目で一旦中央線に入り、本町から四つ橋線へ入る
中央線…本町から四つ橋線へ入る
千日前線…阿波座で一旦中央線に入り、本町から四つ橋線へ入る

 

 

御堂筋線の影に隠れがちな四つ橋線ですが、実は地下鉄の祖先である大阪市電(路面電車)のエリート路線、「南北線」と同じ区間(梅田~難波間)を走っており、由緒正しき血統を引いた路線です。

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西梅田駅には、Twitterで話題になった「切符アートが飾られています。もはや芸術。

 

・四つ橋線で行けるところ

・ハービス大阪
・フェスティバルホール
・大阪市立科学館
・国立国際美術館
・アメリカ村
・湊町
・スーパー玉出本店
・住之江競艇場

西梅田~難波間は全体的に落ち着いたオシャレな町が多く、一方で大国町より南側は急に庶民的になる、そんな路線です。ギャップがすごい。

 

谷町線

一言で… 官公庁街・お寺・住宅地を走る地味ながら堅実な路線
ラインカラー…ロイヤルパープル・京紫(お坊さんの袈裟の色)
正式名称…大阪市高速電気軌道第二号線
誕生日…昭和42年(1967年)3月24日、東梅田~谷町四丁目間

車両…6両編成、22系・30000系
路線距離…28.3km(大阪メトロ最長
駅数…26駅(大阪メトロ最多
稼ぎ具合…営業係数73.1、3番目の稼ぎ頭

延伸構想…具体化はしてないものの、提言はされている。
大日~仁和寺方面、および八尾南~藤井寺へ伸ばせたらいいなぁぐらい

路線の逸話…大正15年に作られた初期計画路線組の1つ。2号線だが建設は4番目。大阪メトロ路線で最長の28.3km。完成当時は世界一トンネルが長い路線だった。

 

 

・他路線や他社との関係

谷町四丁目で繋がっている中央線との関係が深い路線。同じ6両編成ということもあり、所属車両の変更をよく行っています.

例えば、上の「2631」と書かれた車両は元々谷町線の電車でしたが、現在は色を塗り替えて中央線で活躍しています(下の写真)

<写真>元谷町線車両の2631

自線の車庫は大日・八尾南の2つにあって結構大きいのですが、どちらも検査設備がないので、かつては中央線沿線にある森之宮検車場で検査を受けていました。

2015年から四つ橋線とも線路が繋がり、現在の検査は四つ橋線の車庫(緑木検車場)で受けています。

 

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当初の計画では、現在の大国町駅のように梅田駅で御堂筋線と顔を合わせる予定だったものの、地盤が弱い場所なので谷町線の駅が作れずに叶わず。

崩落事故(梅田駅計画地)、爆発事故(天六ガス爆発事故)など、建設時に事故が多いのも特徴でしょうか…。

 

 

・谷町線で行けるところ

・曽根崎新地、お初天神
・泉の広場
・造幣局
・大阪天満宮
・FM802
・大阪府庁
・大阪府警
・NHK大阪
・四天王寺
・天王寺動物園
・てんしば
あべのハルカス

全体的に文化施設や学校が多い文教路線。

また、「千林+大宮」「喜連+瓜破」など、2つの地名を繋げた複合駅名が多いのも特徴です。谷町線だけで複合駅名が7駅あります。

末端区間の住宅地率が高く、「住宅→都心・都心←住宅」と乗客の流れがはっきりとしています。

 

 

中央線

一言で… インテックス大阪や海遊館、大阪城を結ぶ観光路線
ラインカラー…グリーン(大阪城公園の色)
正式名称…大阪市高速電気軌道第四号線
誕生日…昭和36年(1961年)12月11日、大阪港~弁天町間

車両…6両編成、20系(廃車予定)・24系(転属中)・30000A系・400系
(万博に合わせて最新の400系投入予定)
路線距離…17.9km
駅数…14駅
稼ぎ具合…営業係数63.3(2番目に稼ぐ路線
延伸構想…夢洲へ工事中(2024年予定)

路線の逸話…大阪の地下鉄で初めての高架路線として開業。大正15年に作られた初期計画路線組の1つだが、東側は千日前線へと分離。
地下鉄では日本一高い駅が弁天町駅にある(地上高約13.7m)

 

 

・他路線や他社との関係

インテに連なるオタク御用達路線。

 

谷町四丁目で繋がっている谷町線との関係が深い路線。同じ6両編成なので車両の入れ替えが多く行われています。(20系・24系)

千日前線とも関係が深く、千日前線には自線に車庫がない為、阿波座を通って日常的に中央線の車庫を使っています、朝や夕方には車庫から出入りする千日前線車両の姿を見ることが出来ます。

 

四つ橋線と同じく、地下鉄の祖先「大阪市電(路面電車)」の始まりの路線である「築港線」を受け継いだ、こちらも由緒正しき路線です。

 

出典:Osaka Metro『地下空間の大規模改革及び 夢洲開発への参画について』2018年12月20日

 

また、現在コスモスクエア~夢洲間において延伸工事が進んでいます

2024年に完成予定で、今のところ大阪メトロの最初で最後の延伸工事となっています。

 

それにあわせて、現在最新鋭である400系

30000A系の投入が進められています。

 

・中央線で行けるところ

・インテックス大阪
・海遊館
・船場センタービル
・大阪府庁
・大阪府警
・NHK大阪
大阪城

西側にはイベント系のスポットが多い一方、東側はビルや官公庁などカッチリとした施設が多い路線。

「海遊館でデートする為、中央線に乗る」というのは、大阪市民の一種の通過儀礼です。

 

 

千日前線

一言で…短い。
ラインカラー…チェリーローズ・紅梅色(難波千日前のネオンの色)
正式名称…大阪市高速電気軌道第五号線
誕生日…昭和44年(1969年)4月16日、野田阪神~桜川間

車両…4両編成、25系
路線距離…13.1km
駅数…14駅
稼ぎ具合…営業係数128.2(赤字)
延伸構想…あり。南巽~弥刀・久宝寺

路線の逸話…大正15年に作られた初期計画路線組の1つだが、西側の計画線は中央線へと分離。
野田阪神はあくまで暫定の終点として開業したものの、結果的に永久的になってしまった
元々もっと伸ばして「東西版御堂筋線」ともいえる立ち位置にする予定だったものの、中途半端な形に

 

当初構想どおりにできていれば、東西方向の主力級路線になっていた悲運の路線。それ故に、ホームは8両編成が想定されています。

長らく御堂筋線からのお古電車しかなく、1991年に初めての専用設計車である25系(写真)が登場しました。

 

 

・他路線や他社との関係

千日前線 25系 南巽 留置

千日前線車両は自線に車庫がない為、日常的に中央線の車庫を使っているなど、ちょっと依存した関係。

かつては今里に2編成の小さな車庫があったものの、2014年頃に廃止されて現在は車両を置く線路(留置線)があるのみ。

車庫がないので、野田阪神・南巽・今里・阿波座に車両をお泊り(夜間停泊)をさせ、中央線が使えなくなった時でもなるべく回せるようにはしています。

南巽に至っては、なんと車両を向かい合わせにして留めるという裏技っぷり。

 

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野田阪神駅に余裕があることから、近年ハロウィン関係のイベント路線としてやたらと起用される存在。

初年度は人気すぎてパンクしてしまったものの、ノウハウを掴んで以後は順調にイベントをこなしています。

 

・千日前線で行けるところ

・大阪中央卸売市場
なんばグランド花月
・難波千日前
・道頓堀
・国立文楽劇場
・黒門市場
・生國魂神社
・鶴橋/コリアンタウン

歓楽路線という色合いがやや強め。

そもそもラインカラーのピンク色の由来は「ネオン」から採られたという説があり、元々そういう運命だったのかもしれません。

先述したように、元々は野田阪神から神崎川までと南巽から平野まで延伸される構想があった路線であり、実現していれば東西方向の主力路線として君臨したことでしょう。

神崎川方面はJR東西線の延伸でなくなってしまいましたが、平野方面は久宝寺緑地方面への延伸構想が残っています。この折には久宝寺緑地地下へ(ようやく自線の)新しく車庫が作られる予定です。

 

 

堺筋線

一言で…大阪メトロ唯一の外向け路線。阪急とあわせるために規格を作った
ラインカラー…ブラウン(阪急の色)
正式名称…大阪市高速電気軌道第六号線
開業…昭和44年(1969年)12月6日、天神橋筋六丁目~動物園前間

車両…8両編成、66系
路線距離…8.1km
駅数…10駅
稼ぎ具合…営業係数73.0(黒字)
延伸構想…なし

路線の逸話…「動物園前って…もっと何か名前はないのか?」と国から突っ込まれた路線
天下茶屋のことを「ワールドティーハウス」と誤変換されたのは内緒。

 

堺筋というだけあり、元々堺(なかもず)方面への延伸構想がありましたが、御堂筋線に取って代わられたことで南海と接続しやすい天下茶屋へと延伸。

現在はこれといって延伸構想がありません。

 

 

・他路線や他社との関係

阪急と接続するため、他路線と関係を持たない独自路線。車庫は阪急線内(東吹田)にあります。

南海と阪急、どちらとも直通出来る立ち位置で、両者から引っ張りだこになった路線。揉めた結果、国から「(万博もあるから)阪急にしなさい」と言われて阪急と直通することに。

阪急がストライキをしても、ここからの回送電車のみは運行する協定が結ばれています。

 

公式からサカイマッスル」「ワールドティーハウス」と誤変換されてしまった不憫な路線。

 

 

・堺筋線で行けるところ

・天神橋筋商店街
・キッズプラザ大阪(関西テレビ)
・FM802
・大阪取引所
・国立文楽劇場
・黒門市場
・でんでんタウン
通天閣
・天王寺動物園

阪急方面から大阪市内へアクセスしやすいだけに、意外と阪急ファンからの人気が高い路線。「大阪メトロ(趣味)は堺筋線から入った」という人も多々。

沿線には住宅地があまりなく、ビジネスユーザーと観光ユーザーがメイン使用の路線です。

 

 

 

長堀鶴見緑地線

一言で… バブルに作られた、華やかハイテクな路線
ラインカラー…ライムグリーン・萌黄色(鶴見緑地の色)
正式名称…大阪市高速電気軌道第七号線
開業…平成元年(1989年) 鶴見緑地~京橋

車両…4両編成、70系・80系
路線距離…15.0km
駅数…17駅
稼ぎ具合…営業係数153.2。トンネル掘削費の借金返済中
延伸構想…あり。大正~鶴町4丁目

路線の逸話…日本初のリニア地下鉄

 

・他路線や他社との関係

16年後にできた後輩である今里筋線との関係が深い路線

鶴見緑地にある車庫にて両者が顔を合わせる他、今里筋線用の電車が、長堀鶴見緑地線用に改造されるなどもしています。

特徴的な発車メロディは1990年の花博に向けたオリジナルソングで、他線にはない唯一無二のもの

バブル時代頃に作られたこともあって、駅のデザインが一つ一つ違うなど個性が際立つ路線です。

 

尚、花博のアクセス路線として作られた鶴見緑地~京橋間の初期の開業駅には、花博にちなんだ花の壁画があります。

 

出典:大阪市交通局「大阪市地下鉄 リニアモータ試作車両走行試験」

実は、路線開業まではトレードセンター前にあった試験線で、大阪湾を眺めながら試運転を行っていた過去がある意外な路線。(ニュートラムの項目で解説)

 

・長堀鶴見緑地線で行けるところ

京セラドーム大阪
・心斎橋大丸
・大阪城公園
・大阪ビジネスパーク
・鶴見緑地
・咲くやこの花館
・RAGTACドーム

イベント会場や繁華街、学校やビジネス街まで意外に幅広いユーザーがいる路線。

現在はトンネル建設時の借金がのしかかっているので赤字ですが、乗客数は比較的堅調なのでおおよその目安である40年後(2037年頃)には黒字化する未来も見えます。

 

 

今里筋線

一言で… 不況時に作られた質素倹約路線
ラインカラー…オレンジ(日の出の色?)
正式名称…大阪市高速電気軌道第八号線
開業…平成18年(2006年) 井高野~今里

車両…4両編成、80系
路線距離…11.9km
駅数…11駅
稼ぎ具合…営業係数231.0。借金返済中
延伸構想…あり。今里~湯里六丁目

路線の逸話…未解明

 

・他路線や他社との関係

先述したように、16年前にできた先輩である長堀鶴見緑地線との関係が深い路線。鶴見検車場では日常的に両者が顔を合わせます。

最初に作られた電車(01編成)は長堀鶴見緑地線で試運転を行っていた他、最近では17編成が長堀鶴見緑地線へと転属するなどもしています。

まだ新しい路線なので文献などが少なく、どのような秘密があるのか現在解明中です。

 

今里から南へ延伸する構想がありますが採算性が微妙なので、様子を見るために今里筋線と同じ色をしたバス「いまざとライナー」の運行を開始。

 

・今里筋線で行けるところ

とくになし

 

 

南港ポートタウン線(ニュートラム)

一言で…当時流行った「全自動のAGT
ラインカラー…ライトブルー(ポートタウンや四つ橋線にあわせた)
正式名称…大阪市中量電気軌道
開業…昭和56年(1981年) 住之江公園~中ふ頭

路線距離…7.9km
駅数…10駅
車両…4両編成、200系
稼ぎ具合…営業係数143.7

路線の逸話…100系13編成が住之江公園で正面衝突事故を起こし、以後に出た車両では「13番」が使われていない。

 

・他路線や他社との関係

他の地下鉄と異なり、完全独自規格(AGT)で作られた路線

 

AGTとは
「Automated Guideway Transit」の頭文字から取ったシステム名。

昔でいうところの「新交通システム」で、ゴムタイヤをつけた小さい車両が自動運転によって走る電車のこと。ニュートラムの他、神戸の「ポートライナー」や東京の「ゆりかもめ」も同じ仲間。

 

システムは住友商事が一括で面倒を見ていて、新車は住友商事と提携している新潟(新潟トランシス)からやってきます。

開業当初は四つ橋線と接続されており、四つ橋線路線図にも一体的に「ニュートラム」の案内があったほどの関係。1999年から中央線とも接続開始。現在はこちらがメインルートとなっています。

 

ニュートラムは新交通システム(AGT)というジャンルの乗り物で、パッと見はモノレールのようにも見えますが、ゴムタイヤを履いて運行するので厳密には違う乗り物です。

 

あまり書かれませんが、1ヶ月の差で「日本初のAGT路線」の称号を神戸に奪われてしまっている悲運の路線でもあります。

・神戸「ポートライナー」の開業日…1981年2月5日
・大阪「ニュートラム」の開業日…1981年3月16日

 

 

実は、当時トレードセンター前に試運転線があった長堀鶴見緑地線電車の試運転を見ていた意外な存在

上の写真で赤線部分に試験線があり、中ふ頭から1駅の距離で見えていました。

 

ニュートラム初代車両の100系は、試運転に励む70系を遠巻きに見守っていたのです。

 

 

・ニュートラムで行けるところ

インテックス大阪
・ATC
・フェリーターミナル
・住之江競艇場

インテに行くオタク御用達路線」の呼び名も高いので、もしかすると乗車されたことがある方もそこそこいる……はず。

 

 

9号線

一言で…幻の地下鉄路線
ラインカラー…未定
正式名称…大阪市高速電気軌道第九号線
開業…未開業(住之江公園~長居~喜連瓜破間)

車両…4両編成の予定
路線距離…7.0km
駅数…7駅
稼ぎ具合…悲観的

構想にはあるものの、まだ着工すらしていない幻の路線です。

 

・他路線や他社との関係

長堀鶴見緑地線・今里筋線と同じ規格のリニア地下鉄。車庫は長居公園地下に出来る予定です。

まだ生まれていないのではっきりとしたことは殆どわかりませんが、今里筋線の延伸すら見送られる中、この路線の建設はまだまだ先になりそうです。

 

【大阪メトロ 延伸データベース】9号線(敷津長吉線) 住之江公園~喜連瓜破

 

 

北大阪急行

ここからは、大阪メトロと直通する他の鉄道について取り上げます。

一言で…万博の時に出来た優等生
ラインカラー…栗色+赤(阪急と御堂筋線)
正式名称…北大阪急行電鉄 南北線
誕生日…昭和45年(1970年) 江坂~万国博中央口間

車両…10両編成、8000形・9000形
稼ぎ具合…良(2019年度で純利益2億4076万円
延伸構想…あり。千里中央~箕面萱野間(2023年予定)

路線の逸話…70年万博時に運びまくったので借金返済が余裕だったことにより、長らく運賃が90円と日本最安だった。

 

他路線や他社との関係

大阪メトロではなく、直通する他社の路線。

御堂筋線に車両システムを合わせて直通しつつも、資本的には阪急電車という異端児。両者の良いところ同士をひっつけたような優等生です。

路線が短いながらも稼ぎは抜群で、毎年2~4億を稼ぎ、2019年度時点での利益剰余金(貯金)は75億円に達します。

 

現在千里中央から先の「箕面萱野(みのおかやの)」駅まで、延伸工事が進められています。

 

 

近鉄けいはんな線

一言で…スマートな近鉄電車
ラインカラー…ライトグリーン
正式名称…近畿日本鉄道けいはんな線
誕生日…昭和61年(1986年) 長田~生駒間

車両…6両編成、7000系・7020系
稼ぎ具合…不明
延伸構想…あり。学研奈良登美ヶ丘~高の原間

路線の逸話…日本最速の第三軌条路線

 

他路線や他社との関係

こわい電気が流れています」で有名な路線。正直この看板のほうがこわいのは内緒。

近鉄は長年中央線との直通を希望していたものの、けいはんな線として開業するのはかなり後になりました。

 

2004年に学研奈良登美ヶ丘駅への延伸で4編成を増備しましたが、全く同じ顔の電車が導入されています。

ラインカラーはライトグリーンですが、車両は当時のカラーリングであるパールホワイトにオレンジ色の車体。今から見ても実にスマートです。

第三軌条方式の中では日本最速の95km/hで東大阪・奈良をかっ飛ばします。

 

 

 

大阪メトロ特有の文化について

歴史

大阪メトロの歴史は、路面電車に遡ります。

1903年に築港(今の大阪港)~花園橋(九条)間に、大阪港へのアクセス路線として路面電車(大阪市電)が開業。

今では考えられませんが、1969年に廃止されるまで大阪市内の道路を路面電車が行き来していました。

現在の主力路線は御堂筋線ですが、路面電車時代の主力路線は「南北線」という四つ橋筋に敷かれた路線でした。

 

出典:大阪市交通局「大阪市交通局百年史」 568p

 

そこから30年後の1933年に御堂筋線(梅田仮駅~心斎橋間)が開業。路面電車に対して速いということで「高速鉄道」と呼ばれました。

これは現在の社名である「大阪市高速電気軌道」にも名を残しており、後述する「軌道法」共々、大阪地下鉄のアイデンティティにもなっています。

 

本社は長年、九条駅近くの「境川(さかいがわ)」に位置しており、2004年には現在の新しい建物へと建て替えられました。

 

 

最高速度

最高速度は70km/h

これは大阪メトロが「軌道法」という路面電車の法律で開業している事が理由です。

 

軌道法とは

路面電車を敷く為に作られた法律。一般的な鉄道は「鉄道事業法」が用いられます。
路面電車の大半がこの軌道法を根拠に作られていて、原則、最高速度は40km/hまで。

 

軌道法では本来40km/h迄しか出せないルールですが、大阪市営地下鉄は路面電車と違って人が入れない専用空間を持っていることから、特別に70km/hまで出していい決まりになっています。

 

 

「軌道法」を根拠に地下鉄を運営しているのは、全国でも大阪だけ。他は全て鉄道事業法です。

何故、大阪だけが路面電車の法律で開業しているのでしょうか

 

軌道法の理由

話は戦前に遡ります。

本来であれば鉄道なので鉄道省へ免許申請を行うべきところなのですが、これを大阪市は

大阪の地下鉄は鉄道ではない。都市を横に移動するエレベーターのようなもの
「殆どの区間を路面電車と同じく道路に並行している。地上か地下かの差

という考え方に基づき、軌道法を管轄する内務省へ提出しました。

 

内務省とは

戦前にあった国の省庁。
今でいうと、総務省、国土交通省、厚生労働省、警察庁をあわせたような役割を担い、その分権力が集中する巨大組織でした

 

この動きに対し、本来鉄道を管轄している鉄道省はめちゃくちゃ怒ります。

鉄道省vs内務省でバトルがあったようですが、結局「今後一切の例外も認めない」という約束の下、大阪のみ軌道法で建設出来るようになったのです。

後に名古屋も軌道法で地下鉄を作ろうとしたのですが、この一件があったので「絶対に認めない」と一蹴しています。

 

一方で、軌道法由来の地下鉄であるが故に、他の地下鉄であるような「中古車として売却される」ということが一切ありません。

東京メトロ車両が熊本へ、名古屋市営地下鉄車両が高松へそれぞれ移籍しているのとは対照的です。

 

 

電圧

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大阪の地下鉄は「第三軌条方式」といタイプの路線が5路線(御堂筋線・谷町線・四つ橋線・中央線・千日前線)存在しています。

第三軌条方式は一般的な電車とは異なり、線路脇にもう1本の電線を敷き、そこから電気を給電するシステムです。

集電靴

電車には集電靴(しゅうでんか)という長靴のような形をした部位があり、そこを擦って電気を拾っています。

第三軌条 スパーク

電気の給電中にはこんなことも。750Vの電気が流れているので、触るどころか近づきすぎても感電して黒焦げになります。

 

 

第三軌条式を採用する理由は、トンネルを掘る面積が大きいとコストがかかる事が理由です。

 

・第三軌条方式の御堂筋線・谷町線・四つ橋線・中央線・千日前線は、一般的な電車よりも電圧が低い750V

・堺筋線は阪急とあわせるために1500V

・長堀鶴見緑地線と今里筋線も1500V

電圧が高いほうが、電力を送る際のロスを減らすことが出来ます。人でいうと血圧と同じでしょうか。

 

ちなみに、第三軌条路線の電圧が低いのは国土交通省の省令によるもので、感電や短絡の被害をなるべく抑える為にそうなっています。

 

 

まとめ

合計1万文字近く書いてしまいましたが、いかがでしたでしょうか。あまりに詰め込みすぎて「逆にわかりにくい」となっていないか心配です…。

冒頭にも書いたように、鉄道車両の擬人化文化はこれまでちょこちょこあったものの、大阪メトロに関しては殆どない状態でした。

近年、ようやくその文化が広まりつつあることで嬉しく思いますし、将来的に様々な創作者さんの擬人化文化がみたいなと常々思っています。

この記事が、そんな擬人化キャラ作成のお役に立てれば幸いです。

(ここってどういう意味?などがありましたら、是非Twitterでお知らせ頂けると幸いです。)

 

謝辞

記事作成にあたっては、擬人化イラストを発表されているこつめ様いちまる様のお二方より様々なご協力及びご助言を頂きました、心から御礼申し上げます。ありがとうございます。

 

参考文献

書籍

・『大阪市内外高速鐵道調査會報告書』― 帝國鐵道協會、土木學會、1924年10月
・『大阪市地下鉄の歩み』ー 岩村潔 著、市政新聞社、1970年12月
・『大阪の地下鉄 発展を支えた遺風と建設技術開発』ー 岩村潔 著、市政新聞社、1981年
・『鉄道史料 74号、竹田辰夫「『大阪市高速鉄道設計要覧』に寄せて」』― 鉄道史資料保存会、1994年
・『大阪の地下鉄 創業期から現在までの全車両・全路線を詳細解説』― 石本隆一 著、産調出版社、1999年4月

・『鉄道ピクトリアル 1993年12月臨時増刊号 【特集】大阪市交通局』ー 株式会社電気車研究会 著, 1993年12月
・『鉄道ピクトリアル 3月号 臨時増刊 2004年4月増刊 NO.744【特集】大阪市交通局』ー 株式会社電気車研究会 著、2004年4月
・『鉄道ピクトリアル 8月号 臨時増刊 2019年8月増刊 NO.963、特集 大阪市高速電気軌道(Osaka Metro)』ー 株式会社電気車研究会 著、2019年8月
・『大阪市交通局 完全データDVD BOOK』― 飯嶋章浩 著、メディアックス、2016年12月

行政刊行物

・『大阪市高速度交通機関協議会』― 大阪市電気局、1926年
・『奉天市地下鐵道計量書』― 大阪市電氣局高速鐵道部、1940年9月
・『大阪市高速鉄道建設沿革誌概要』― 大阪市電氣局高速鐵道部、1943年2月
・『高速鉄道第4号線 弁天町~本町間 竣工検査資料』、大阪市交通局、1964年
・『高速鉄道第6号線の建設計画について』ー 大阪市交通局総務部、1966年10月
・『大阪市地下鉄建設五十年史』ー 大阪市交通局、1983年
・『大阪市中量軌道南港ポートタウン線ニュートラム建設記録』― 大阪市交通局,1983年12月
・『大阪市高速電気軌道第1号線<御堂筋線>改造工事記録 第1分冊(難波~我孫子間編)』― 大阪市交通局建設技術本部建設部長居建設事務所,1992年
・『大阪市高速電気軌道第1号線<御堂筋線>改造工事記録 第2分冊(梅田停留場編)』― 大阪市交通局建設技術本部建設部中津建設事務所,1992年
・『大阪市高速電気軌道第7号線京橋~鶴見緑地間 リニアモータ地下鉄建設記録』ー 大阪市交通局 著、1993年4月
・『大阪市営交通90年のあゆみ』― 財団法人大阪都市協会,1993年5月
・『大阪市営地下鉄構内における信号音の改善』ー 豊崎宏、近藤文雄(大阪市交通局),1993年11月
・『6000が走る 紅いほっぺの電車 30年の記録』 ―大阪市交通局互助組合鉄道研究部 1999年11月
・『大阪市地下鉄建設70年のあゆみ 発展を支えた技術』ー 大阪市交通局 著、2003年9月
・『大阪市交通局百年史(本編)』― 大阪市交通局 著、2005年
・『京阪奈新線整備事業誌』ー 近畿日本鉄道・奈良生駒高速鉄道 著、2006年12月
・『ノッテオリテ』各号 ー 大阪市交通局
・『大阪市高速電気軌道第8号線井高野~今里間 地下鉄建設記録』ー 大阪市交通局 著
・『「大阪市交通事業の設置等に関する条例」に位置づけられた未着手の地下鉄計画路線の整備のあり方について 』平成26年8月28日 大阪市鉄道ネットワーク審議会
・『条例路線の調査結果について』平成8年12月臨時会常任委員協議会(交通水道)-12月13日
・『第7号線(長堀鶴見緑地線)の延伸[鶴町~大正] 』大阪市
・『「大阪市交通事業の設置等に関する条例」に位置づけられた未着手の地下鉄計画路線の整備のあり方について(答申)内、資料1-2 「大阪市交通事業の設置等に関する条例」に位置づけられた未着手の地下鉄計画路線の整備のあり方について(答申)(その2)』- 2014年8月30日
・『第4回大阪市鉄道ネットワーク審議会』- 2014年7月2日
・『第5号線(千日前線)の延伸[南巽~弥刀方面](詳細版) 』 – 2014年7月2日

 

Web

・『なにわの地下鉄 [http://naniwa-subway.net/] 』ー 第三軌条 著、2021.7.20閲覧
・『今里筋線開業と大阪市営地下鉄 [https://www.library.pref.osaka.jp/nakato/archives/20061206.html]』― 中之島図書館 作成
・『第034回国会 運輸委員会都市交通に関する小委員会 第3号 昭和三十五年三月二日(水曜日』ー国会議事録

 

関連リンク

「鉄道擬人化資料作成」に当たっての備忘録

【条文メモ】大阪市営地下鉄が軌道法で作られた理由

 




書いた本



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